とにかくフランス語を勉強する

フランス語に加えてイタリア語もダラダラ勉強しているダメリーマンの記録

ジェルミナル書取終了

終わった。去年の10月25日から半年かかった。形容しようのない感慨に浸りつつ、この半年の歩みを反芻する。


(以下思いっきりネタバレを含む)
あらすじはWiki(→)の通り。鉱山労働者達の蜂起とその挫折を描く。


救いのない貧富の露骨な対比、退廃した道徳、剥き出しの破壊と暴力、ありのままの描写が生々しくて、読むというよりは体感するという感覚が強く、そのおかげで徐々に感情移入強く書き進んでいった。


話の中で、ストの同志はどんどん逝くし、目的は結局遂げられない。ストの敗北後、春の息吹の中、復讐を誓い合い、因果応報を暗示して話は終わるが、その成果は何も明示されない。でも読み終わって救いを感じるのは何でなんだろ・・まだ良く分からないな。


あとは書き取っていく中で、ヒロインのカトリーヌに感情移入していた。彼女は、貧困階級版の「女の一生」みたいな感じで、色々な不幸に耐え続けるのだが、最後、主人公のエチエンヌと崩壊する炭坑に何日も閉じ込められ、助けが来る直前に静かに力尽きる。


逝く瞬間が表現されず、いつのまにか逝っているのがリアルで、目頭が熱くなった。半年間、幸せになってほしいなあと感情移入して読み進んできたのに、最後の最後ここまで頑張って力尽きるのかと。。(逆にエチエンヌに何かを託せるまで頑張れたという解釈も出来るだろうけど・・)


・・
語学学習的な部分について。
厳密な情景描写、乱暴なスラング、凄まじい登場人物数を中心にモーパッサンよりは難しく感じたけど、文体は素直、比喩表現も大袈裟でなく的確で、間違いなくディクテ向き。「堵殺場に送られる家畜のような鉱夫たち」とか、「口を開けてかっぽり待ち構える炭坑」とか、具体的な例えを、付加形容詞的に後置修飾する構文にはすぐ慣れて読みやすくなった。


それにしても思い切って挑戦してよかった。半年間、ゾラの世界に染まれて楽しかった。達成感がある。ゾラの代表作を一通り書き取れた事が嬉しい。


カミュサン=テグジュペリフローベールモーパッサン、ジッド、ドーデ、そしてゾラ・・・って、書き取ってきた作家の名前だけ見てると、いっぱしになってきた感じがするんだけど、全然実力が伴ってない罠。