とにかくフランス語を勉強する

フランス語に加えてイタリア語もダラダラ勉強しているダメリーマンの記録

2019年度仏検1級まとめ

以下、長いので結果から分離させています。

 

(8/17 追記)仏検1級1次対策

去年2たび仏検1級に落ちた(⇒)後は、通訳案内士試験対策をしていて、仏検のためと呼べるようなことは殆ど何もしていませんでした。

で、今年の1月にその通訳案内士試験も不合格となり、自信があったこともあって、その衝撃が大きすぎて、その後2か月くらいフランス語から遠ざかっていました。

目標を失ってしまい、もうどうでもよくなったのが大きかったです。

それでも少しずつ回復してきて、やっぱり今年も仏検を受験しようかなあとか思い出したのが3月末ごろで、ウジウジ迷いつつ具体的に動き始めたのは4月に入ってから。

そんなので受かると思うわけがなく・・動き始めた後もブログに何も書く気になれなかったのは、こういう経緯からです。

ただ、今年は短期の対策だからこそ、思い切ったことをしようと思いました。

 

要点は3つ。

(1)聞取の空欄補充(聞取1)対策に時間投下する。

この部分は、2017年は5問正解10点、2018年は7問正解14点だったけど、上手く嵌れば、もっと点を取れたはずという感覚があった。平均点も高いパートだし、ここで9問取れば両年とも受かっていたわけだから、そのための準備を一番重視しようと。

 

(2)書く問題に対する対処を峻別する。

2年前の受験時に、仏検1級は書けないと受からないと書いたが、この部分に関しては、名詞化(問題1)対策は新しくやるが、和文仏訳(問題9)は対策するだけ無駄と割り切り、何も対策しないことにする。時間が足りなすぎる。

 

(3)長文関係も割り切る。

未読だった雑誌の記事をリハビリとして読むだけで良いことにする。2017年、2018年の時点で相応に点が取れていたので、真面目に考え過ぎない。

 


・・要は、聞取の空欄補充と名詞化対策をすることで、去年足りなかった4点を埋めにいったということです。

 

具体的にしたことは以下。

 

1.公式ガイドブックで過去問を解く

2019年度版1級仏検公式ガイドブック(CD付) (実用フランス語技能検定試験)

2019年度版1級仏検公式ガイドブック(CD付) (実用フランス語技能検定試験)

 
仏検公式ガイドブック傾向と対策+実施問題 1級〈2016年度版〉―実用フランス語技能検定試験

仏検公式ガイドブック傾向と対策+実施問題 1級〈2016年度版〉―実用フランス語技能検定試験

 

聞取の問題をたくさん解くのが一番の目的。今更、公式とかふざけてるのかと言われるかもしれないけど、自分の場合、胴元が発行する公式本というのが馴染めなくて、ずっと敬遠していた。

昔、TOEICを勉強していた時代もやっていたことがあったけど、この手の本は検定試験の意義を曲げてチートするような感覚があって。。

でも2回落ちると考えも変わる。受かるためには、もうそんなこと言ってられない。2019年版と、某アプリ経由で中古の2016年版を入手しました。 

本当は2016年よりもっと以前のが欲しかったけど、オーディオCD付きの安価な中古版が見つからなかった。

それでも7年分の過去問演習ができたのは大きかった。特に書取、聞取は2周繰り返して攻略の仕方がだいぶ分かった。

読み上げはゆっくりなんだし慌てなくて良いんだ。聞取の空所補充で9問取るという目標に対して、かなり自信を持つことができた。

一方で、名詞化、多義語、時事用語等の知識系の問題群は、どうせもう二度と出ない問題なんだし、あまり役に立たないかなと思った。一応全部一通りなぞったけど対策は諦めた。

 

2.EURONEWSの高速ディクテをする

聞取対策2&書取対策。このサイトは毎日20個以上、45秒~120秒くらいの平易なフランス語ニュース動画を量産してくれる。

その中で5個くらい動画を抽出し、タイトル名を削除して(ヒントになってしまうから)、MP3ダウンロードし、聞き取る回数を2回と制限を付けて、ほぼ毎日ハイスピードディクテをした。

制限付きなのは時間がないのもあるし、本番並みの緊張感をもたせないといけないというのもあった。

あと以前はディクテが面白くてフランス語の勉強をずっと続けていたので、楽しかったころの初心に帰りたいなというのもあった。

本番並みの緊張感をもって、聞き取る集中力を高めつつ、ボキャの穴も埋めようという目的をもってやったが、正直役に立ったかどうかは分からない。

(※注意 2023年春頃より同時通訳がなくなり字幕中心になったため、この方法は難しくなりました)

 

3.名詞化問題演習をする

フランス語名詞化辞典

フランス語名詞化辞典

 

もう1つ食わず嫌いしていた名詞化も。動詞と名詞の対照例文が900文以上載っている。仏検業界では有名な本。

自分は暗記が苦手な人間なので、こういう目録系をやるのが億劫だったが、名詞化対策はちゃんとやらないとダメだろうと取り組むことに。

毎日30分、休日と直前1か月は1時間以上ガリガリ例文を書き写しつつ、2周目以降はクイズ形式で演習しました。

全然演習時間が足らないと思ったけど、本番では2題出来たから成果あったんだろう。

 

4.雑誌を読む

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2、3に疲れた時とか、あと休日は必ず1時間、Science et Vie、African Businessの読み残し部分を読んだ(仏語雑誌のカテゴリーで何回か紹介したもの)。

去年、先生に購読を勧められた総合週刊誌(L'ObsとかL'expressとか)を読んでいた時期もあったけど、今更興味が持てず、自分の興味を充足させる方に回帰しました。

意外な発見を重視するなら、総合系で雑食になった方が良いんだとは思うけど。

 

※勉強時間について
平日は朝活80分が基本ベース。GW明けくらいからは昼休みも40分やっていたので合計120分くらい。

春は仕事の繁忙期なので夜は割り切って何もせず、早く寝ることを心掛けるだけでした。

休日は210分(3時間半)、1日どこかでやると決め打ちしてやりました。大体午前中に一気にやることが多かった。

もっと増やせるかなとも思ったけど、さらに負荷を増やすと集中が持たないし、翌日に反動がくるので諦めました。

 

 

(8/18 追記)仏検1級1次結果

で、6月16日の1次試験の実際の結果を問題順にまとめたのが以下。左側が満点、右側が自分の得点。記述部分は?付き推測値。多分今回は殆ど誤差はないと思う。

1 名詞化  12/4?
2 多義語   8/4
3 前置詞   8/4
4 用語補充  5/0
5 動詞活用 10/4
6 長文完成 10/8
7 内容一致 12/10
8 長文要約 15/13?
9 和文仏訳 20/3?

書取     20/19?
聞取
1 用語補充 20/18
2 内容一致 10/9

合計     150/96(合格点93点)

 

用語補充、和文仏訳が壊滅気味なのは想定内。6,7,8の長文系が割と簡単だったこと、書取、聞取が(演習の成果もあって)会心の出来だったことで、狙っていた部分については、これ以上ないくらい得点を重ねられた。

でもボーダーも例年に比べて高く93点まで上がっていて、何とか3点差で2次に滑り込む。

やっぱり上位層は皆簡単なところは逃さず取っていくんだなあと。上位10~12%で足切りする1級1次はそういう意味で厳しい。たぶん今年の受験者平均は70点超えたんじゃないかと思う。

 

(補足⇒実際の2019年度の1級の平均点は68点で標準偏差は22でした。自分のブログを辿ると、2016年が平均61点で標準偏差18.5、2017年が平均63点で標準偏差20だったことが分かるので、少しずつ問題が易化し上位と下位の点差が開いてきている様子。あくまでも点数が正規分布している前提ですけど。。)

 

・・今までの仏検1次を振り返ってみると、2級は長文だけ出来れば合格点は超えられたし、準1級も長文と書取の2つを克服すれば何とかなった。

けど、1級の場合、自分のように書けないまま強行突破を図るとなると、長文、聞取、書取の3つを克服し、全てで9割前後取らないと無理なわけで、かなり無謀な企てだったと思います。推奨しません。

 

 

(8/19 追記)仏検1級2次対策/本番

6月16日の1次が終わった後、自己採点が90点を超えていて感触としては7:3で通過しているかなあという感じだったけど、過去2年の不合格の経験から、あまり合格に現実味を感じなかった。

少し2次の練習を試みたりもしたけど、独学だと対策の仕方も分からないし全然気乗りしなかった。

なので7月10日に1次合格が分かったときは、かなり慌てた。2次対策はもう独学では無理だろうから、誰かに指導を仰がないといけない。。

 

・・今回は1つだけアテがあった。瞑想先生がいる。去年10~12月にガイド試験対策をする際に教わった大阪在住の先生で、色々な面で本当にお世話になった(試験は落ちたけどな)。

早速アプローチする。臨時講師を御願いしたところ、試験まで11日間の短い間に、何と2時間ずつ6回のレッスンを大奉仕価格で引き受けてもらえることに。

それだけでかなり安堵した。翌日から、少し会話のリハビリをした後、具体的に準備を重ねて行った。

 

(1)論理展開の矯正

エクスポゼの進め方として、仏検準1級の時に自分が進めた方法として、3点の論拠を順に話す方法を先生に説明したのだが、先生曰く、それだと論拠を3つ挙げるのも大変だし、説得的に物事を進めるのは難しいとダメ出しされた。

説得的であるためには、展開(テーズ)⇒反論(アンチテーズ)⇒結論(サンテーズ)を進める方が一般的だろうと。

フランス人は中3~高3の間にそういった練習をさせられ、10分くらいの長い論証の練習もあるのだとか。。3分なんて簡単でしょ、と言われるが俺には難しい。

 

(2)具体的な3分演習

概念を理解したら実践あるのみ。公式本にある御題や、先生が考えてきてくれた御題について3分でエクスポゼを準備し、展開、反論、結論のパートを1分ずつをメドに作って話す演習を繰り返す。

とにかく大事なのは、ゆっくりと、接続詞を上手く使って、流れを明瞭に示すこと。マシンガントークにならないように気を付けてと注意される。

 

(3)語彙補強と反論

展開⇒反論⇒結論の流れを掴み、演習を進めると、だんだんテーマの類型化ができるようになってくる。

マンネリにならないよう、先生に色々な語彙を肉付けしてもらいながらをエクスポゼを推敲していく。

特に仏検に多い、格差、多様性、平等、税制に関するモドクレ(キーワード)はたくさん助言をもらった。

で、スピーチを練り返したら適当に反論をしてもらう。この先生は非常に頭が良いというか、よく鍛えられていて、自分の作った適当なロジックのアラを嫌らしくつついてくる。これはこれで鍛えられた。

・・

で、7月21日、仏検1級2次へ。会場はまた京都。

朝一番で、三条烏丸南側の例の有名なベローチェへ行き、出されそうなお題について、展開、反論、結論のシミュレーション直前対策をする。

 

・・9:00になって二次試験会場へ歩き始める。目的地は、三条烏丸から4km弱、京都の碁盤目の右上、京大の吉田南キャンパス。

会場での事前の待ち時間が長いと緊張するので、時間ギリギリに着くように歩いて行って無心になって落ち着こうと思ったが、朝から蒸し暑い日で歩くうちにどんどんグロッキーに。

京都の暑さを舐めてました、本当にこの街は風が吹かないのな。ゼーゼー言いながら集合時間5分前に大学へ入る。

自分の集合時間は9:59。京都の1級2次受検者は4人(1次は22人だった)。面接は3人1組で進んでいくが自分は4番目なので1人後ろ。

自分の後には、たくさんの2級受験の方たちが既にスタンバイしている。

控室で少し涼んだ後、集合時間5分後に面接を行う教室の前へ移る。前の組の若い子の面接が既に始まっていた。

何について言っているかは分からないが、よく通った声が廊下まで響いてくる。すごく流暢で滅茶苦茶うめー。ビビる。この子は普通に合格だろうな。

 

試験の3分前。係の方から、おもむろに課題がフランス語で書かれたA5横のペラペラの紙切れをさっと渡される。

A「中年の引籠りが増加しつつあることについてどう思うか?」

B「・・」

 

Aの引籠りは想定の範囲内。自分の対策レーダーに引っ掛かった。Bは瞬間的に選択から捨てたから忘れた。

Aの課題について半紙にメモを取るが、本番では読むのが禁止なので流れの整理だけ。下敷きがなくて書き難い(準1級の時も似たような事を書いていた。)

 

テーズ、アンチテーズ、サンテーズとマントラのように唱えながら、流れを無心で考えるが集中できない。

準備の3分など、あっという間。前の組の面接が終わり、さっさと入室を促されてしまい、思考がまとまらず分裂したまま教室に入る羽目に。

 

教室の中には年配のフレンチマダムと、中年の男性日本人(全く喋らない)の2人が座っていた。

マダムはAimableでSympaでSouriantな感じ。話しやすそうだけど助けてくれるだろうか。

名前だけ名乗らされた後、さっさとスピーチを促される。覚悟を決める。

 

「よくないことだと思う。政府はこの種の人たちに職業訓練と所得補填をしないといけない。ケアが足りない。失われた世代が学校を卒業する時、日本は未曽有の不景気だった。自分も苦労したが、就職市場は異常で不安定だった。その苦境は自己責任だという人もいる。引籠る方が悪いという人もいる。しかし格差の放置、世代間の不公平の放置は社会を脅かす。また大きなテロが起こるかもしれない。政府はこの問題を放置すべきでない。」

 

・・変なことは言ってないが反論と結論が弱かった。あと中高年の引籠りと失われた世代を勝手に同一化してしまったり。

具体例の肉付けも弱いし、論理的明快さも乏しい。言いたいことが全部言えていない。失敗。

 

質疑へ移る。マダムがベラベラ話し出すが、何が言いたいのか良く分からん。質問なのか、説明なのか、愚痴なのか・・よく喋るなぁ。

 

・・少しずつ質問してるんだと分かってくる。

「国も訓練制度とか、実際に色々やってるでしょう?それとの整合性はどうなの?」

「引籠りって歳取っている人多いの?周りの人たちでは救えないの?」

 

痛いとこ突かれても頑張って答える。

「今の制度は不十分だ。”失われた世代”は働く経験が出来なかった人も多くて、それは訓練だけでは補えない。そのロスを補うには手当も欲しい。本当に大変な世代だったんですよ」

と財源を無視した要求をして逆ギレしたり、

「引籠りは色々なケースがあって、一意に解決策を語れないんですよ。」

とか適当に逃げたり。

 

質疑が続く。面接時間が長く感じる。正直マダムとの会話の噛み合わせがあまり良くない。途中で語彙が怪しくなる。流暢さへの壁が本当に高い。。

悪戦苦闘の末、9分がやっと終わる。長かった。永遠に感じた。後半はスタミナ切れ。それでも今の自分のベストは尽くした。退出してメモを返し解放される。

 

・・エクスポゼは凡庸だったが一応結論を話せたことは評価されるか?ただ、質疑がぎこちなさすぎたのでどうか?

準1級の時は滅茶苦茶でも受かったので何とかならないだろうか?でも一次試験の合格率が12.9%と高めだったので、大量絞込みとかあるんだろうか?

3週間弱、結果を待つ間、楽観と悲観がグルグルと頭を回っていた。

 

・・そして8月9日に合格発表。結果は36点だった。2次も2点差で何とか滑り込んでいた。

今年の仏検1級最終合格率は11.4%だったけど、2次に関して言うと、前回不合格の再受検者含めてもおそらく85%以上、つまり7人に6人は受かっていた。

なので、まずはエクスポゼの論旨さえ理解してもらえれば、それだけで合格点に近い点がもらえるんじゃないだろうか。

自分のあの酷い質疑の質を考えると猶更そう思う。。いい加減なことは言えないけれども。

 

・・これで仏検について振り返るのも終わり。書けるだけ率直に書いたつもりです。

仏検1級は確かに簡単ではないけど、こんな奴でもパスするなら、自分も挑戦してみようかとか少しでも思ってもらえたら嬉しいです。

まとめ中に傲慢、不快に感じる部分もあるかもしれませんが、個人の感想と思ってご容赦ください。

 

 

 (さらに追記)

2019年以前のまとめについても、ここから参照できるようにリンクを貼り付けておきます。

色々な試行錯誤を経て、ここまで来ているのが分かると思います。