とにかくフランス語を勉強する

フランス語に加えてイタリア語もダラダラ勉強しているダメリーマンの記録

2020年秋季DALFC1結果

11月にDALFC1を受けた。

この試験シリーズは初参戦。去年まで仏検戦線に挑んでいる間も、敷居高そうだし、受験料も高いし(C1で20000円もする)、面接官も高圧そうだし(あくまでイメージ)、一度も受けたことがありませんでした。

 

DALFとは

フランス国民教育省公認の本場のフランス語検定試験で、難度の低い方からDELF A1,A2,B1,B2、そしてDALF C1,C2の6つのランクに分かれる。

 

C1は上から2つ目。取るとフランスの大学に入学するための語学試験が免除されるんだと。。

仏検1級に相当するランクらしく、去年何とか卒業したばかりの自分には丁度いいところかなと。

C1の試験内容は4カテゴリーの聴解、読解、口頭表現、文書作成に分かれ、それぞれ25点ずつ、各カテゴリー5点ずつ必要で、合計50点以上で合格となり、晴れてディプロムを受け取ることができる。

 

受験動機

フランス語を中断する前に、自分の表現力に該当する部分、口頭表現、文書作成の部分がどのくらいまで到達しているかを見てもらいたかったから。

あと、ずっと表現力を磨くために足掻き続けてきて、通訳案内士試験を諦めた後、それ以外で何か勉強したという証しを残しておきたかったのもある。

 

試験対策

何も試験内容を知らずに丸腰で試験を受けるのは自殺行為なので、事前に1冊、8回分の模試が出来るDALFC1対策本を買った。

結局、4分の1くらいしか演習できなかったが、どんな試験なのかは大体理解することができた。

 

試験会場

アンスティチュ・フランセ関西京都。西日本フランス語総本山。大阪で受験しようと思ったら既に定員になっていたので、京都で受けることに。

立派でモダンな白い建物の内部はレトロな佇まいになっていて、入り口にはレオナール藤田の絵画が立てかけてあった。文化と歴史の芳香がすごい。さすがに、NHKのフランス語テキストで単体の題材になるだけはある。

 

C1の試験部屋は、コロナ対策で受け付ける受検者数を控えめにしたらしく、15人くらいしかいない。

仏検より明らかに若い子が多いのは、留学のためのディプロムが必要なのだろうか。単なる野良独学中心の物好きが受けるには敷居が高い試験だなとは思う。

 

 

試験本番

11月7日土曜日。14時試験開始。

4時間ぶっ続けの強行軍へ。

 

1)聴解(40分)

8分くらいの長文対話1つ(2回読み上げ)と、1分ほどの短文朗読/対話2つ(1回読み上げ)を聞いて回答するもの。対策本付属の音声より全然難しかった。

哲学に関する最初の長文は2回聞いても殆ど理解できないまま、解答用紙が全然埋まらず。

こういう科学的対談の本質を即時に理解するのは難しい。言語的に理解するのと、論理的に理解するのに、それぞれ別の回路を同時に働かせないといけないからだ。専用の訓練が必要と感じた。

全体を通して科目足切りラインの5点取れてるかなあと心配するレベルに凹む。実際は全然取れてたけど、得点は、かなり下駄を履かせてもらったような気がする。

 

2)読解(50分)

長文を読んで短答に回答するもの。これは逆にかなり簡単だった。35分くらいで全問終了。必要とされる語彙レベルはそんなに高くない。実感としては20~22点くらいだったけど18点。

採点基準が良く分からん。。でも、ここで俄然やる気が戻り、この後の文書作成まで乗り切る覚悟を決めることができた。

 

3)文書作成(150分)

題材となる長文を2つ読んで200字の要約と250字の論述を作成するもの。苦戦を覚悟していた。

まず仏作文というものをしっかり対策したことないし(それで受けようと思ったのも凄いけど。)

時間の割に書かせる分量が多い上、聴解、読解に引き続いて行うので体力勝負なのもきつい。

読解が早く終わったので実質165分あったので、とにかく焦らないように言い聞かせながら、ゆっくり精読する。

水素電池という新しいイノベーションに関しての話。Science et Vieでよく読んでいた話で理解しやすい。これはラッキー問題だ。

まず要約。DALF本に同じ単語、用語を使うなって書いてあったので、とにかく使い回しを避けることに気を使ったが、表現のバリエーションがなくて後半は体力切れ。

一段落を一文にまとめ、途中で増減調節する方法で何とか乗り切る。時間が予想以上にかかった。

そして、論述。まだ80分ある。。と思っていたら、試し書きをしては消し、書いては消しを繰り返していたら、どんどん時間が無くなっていく。。

書き方が良く分からないまま、文字数を埋めるために最後は水増しが多くなり、滅茶苦茶な結論に。

テーズ→アンチテーズ→サンテーズの流れを意識したつもりだったが文字数が足りない。これは添削指導を定期的に受けないと凡人には無理でした。

最後、時間切れ寸前、汚い筆記体で殴り書きしたので、採点官がキレだすんじゃないかと心配になった。文字数を何とか満たす。。

論述はあまり良くなかったが、要約は一応体裁を整えたので、自分の感想としては10点くらい。

 

・・これだけ休憩のない長い試験を受けたのは生まれて初めて。トイレに行くのも勝手にどうそというのは中々鷹揚な感じがした。

最初の聴解があまりにも難しすぎたので、試験中はいつ途中退出しようかずっと迷っていたが、読解で何とか持ち直し、なんだかんだで最後まで乗り切れて安堵した。

 

 

11月8日日曜日。15時30分。

第二部試験開始。

エントリーが遅かったからか、自分が一番最後だったよう。一人ひとり集合時間をずらし、面接に30分の時間を取るのは大変だ。試験費用が高い分、相応の手間はかかっている。


4)口頭表現(90分)
題材となる長文を読んでエクスポゼの準備をするのが60分と、そのエクスポゼと質疑応答が30分。

準備の部屋は他のC1受験者と共用。コロナ対策で窓が開けられていたが、窓際の席しか空いておらず寒さに震える羽目に。

題材は止められないAI化の是非と、過度なツーリズムへの対応のプレゼンの2択で、ツーリズム問題(ツーリズムの振興と、その地域住民の営みのバランスの問題)の方を選ぶ。

仏仏辞典の持ち込みが可能だったが、自分は紙版の辞書を持っていないため、割り切って持込無しで臨む。

ってか辞書引いてる時間もあまりないし、題材の長文はC1にしては簡単だから必要ないと思った。

1時間で相応にプレゼンを何とか作成。いざ面接へ。

 

面接官は2人とも若い男性のフランコフォン。

いきなり、「あなたで今日の面接は終わりだよー、やっと終わりだー」、みたいな馴れ馴れしいフレンドリーな感じで接してくる。少しリラックスできた。

で、まず10分のエクスポゼに入る。論旨ははっきりしていて骨組みしやすい題材だった。

面接官が随所でエクスポゼを止めて確認を入れてくるのもやりやすい。トレビアンを連発してくれていたし良い出だし。。

と思ったら質疑に入るやいなや試験管の突込みの厳しいのなんのって。簡単に練りこみ不足を露呈してしまう。

自分のプレゼンでは、ツーリズムと地域の問題を京都の問題に矮小化して自分のフィールドに引きずり込もうと考えたのだが、面接官はそれを許してくれない。

論理破綻を延々と突っ込まれ詰まる一方。そのうち論理で詰まり、言葉で詰まり、最悪の展開に。

何というか一問一答的な仏検の面接より、一貫性をもって自分の理路をきちんと説明できるかを見ている感じ。とにかく追及がしつこいのが特徴で、人を論理で納得させることの難しさを思い知る。

仏検の面接の時にしつこく学んだテーズ、サンテーズ、アンチテーズの概念とか完全に忘れてたし、最後は這う這うの体で時間切れ。

2人の面接官の方が両方、常に話しながらガリガリ何かを書いていて(ボールペンの音がうるさかった)、エクスポゼと質疑の中に色んな採点項目があるんだろうなというのは窺えた。

自分の実感としては10点くらいはくれているかなと思ったが、甘かったね。。

 

 

試験結果&まとめ

事前にいつ発表されるか通告もなしに12月18日に突然発表されたよう。点数も出す。

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何とか受かってた。点数はかなり調整が入っていると思う。相対式に変換してるんじゃないかなあ。そうじゃないと聴解14.5点とかありえないし。。

採点基準もそうだけど、平均点は?合格率は?その調整は??どれも分からないし、かなりブラックボックスな試験ですね。

自分の結果に関して言えば、右2つ、表現力に該当する部分の点数が低すぎて正直うーんという感じ。

今まで色々なものをディクテしたり、読んできた蓄えによる部分に救われただけで、自分の表現力自体はB2クラスに過ぎないのでした。こりゃガイド試験受からんわな。。

 

・・表現力を鍛えるには、専用のトレーニングがいる。ネイティブとのコミュニケーションを定期的に取れるような環境に身を置かないといけない。意識も変えなきゃいけない。

自分のチンタラ独学とアマチュア先生との会話レッスンだけでは難しかったと思う。

 

でも試験は面白くてやりがいがあった(強引にまとめへ)。インプット中心の仏検に比べて、アウトプットを深く組み込んだ非常にプラクティカルで、(自分から見て)クセの強い試験だった。

とにかく苦手分野はミニマムの5点を取ればいいんだと割り切れるのが助かる。自分のようなインプット重視の書斎派でも、コミュニケーション重視の実践派でも、違う方面から戦えるという意味では面白い試験ですね。

長文、聞取、書取など途中の平易な設問での取りこぼしが全く許されなかった仏検1級よりは与し易かったかなとは思う(あくまで個人の感想です。)

これでフランス語はしばらく中断します。