「狭き門」をGW中に読み進み、何とか6日に読み終えた。
(以下、ネタバレを含む)
あらすじ。幼い頃から相思相愛の従姉弟のアリサとジェローム。婚約を望むジェロームに対し、アリサは自身の強い宗教的信念により、ジェロームとの(現世での)愛の成就を拒否し、信仰を貫き通し、最後は自ら理想とする神の国へ旅立つ。。
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話は淡々と進む。いったんその世界に入って馴染んでしまえば、語学的にそんなに難しい部分はなかった。特に、中盤のジェロームとアリサの往復書簡を含めた神経戦になってからはサクサク進んだ。
最後に明かされるアリサの日記の中の、ジェロームへの愛と、主への信仰の葛藤に苦しむ記述には胸が締め付けられる想いがした。
もし昔のディクテのやり方で、じっくり一文ずつ書き取りしながら進めていたら、ジェロームとアリサに感情移入し過ぎて、その悲恋の辛さに耐えられなかったかもしれない。
・・やっぱりジッドは心を抉るね。とにかく読んでよかった。未読の方は、是非「田園交響楽」とセットで読まれてはと思います。自分も予定を変更して、日本語版を買ってしっかり復習してみるつもり。
(少し追記)
新潮文庫版を読んだ。1954年発刊ということもあってか、翻訳に少し時代を感じた。
ジェロームとアリサのやり取りが、まるで宝塚歌劇のようにみえたけど、それがあの2人の非現実的な関係性を表現するのに丁度良いんだろうと思った。
最後のアリサの(ジェロームに宛てた)日記も独特で・・原書も勿論大仰だったのだけど、翻訳版だとさらに芝居がかっているように感じられた。
でもその表現の強さの中に、ジェロームへの愛の深さと、それをも凌駕する信仰の強さ(と狂気)みたいなものが溢れ出ていて、思わず「あーこう訳すのかー、上手いなぁー!」とか、勝手に得心しながら最後まで読み終えたのでした。
・・やっぱりこれはディクテしたかったな。聖典、名著と呼ばれるような作品には、じっくり取り組みべきなんだ。また時間が出来たら何か読む。