とにかくフランス語を勉強する

フランス語に加えてイタリア語もダラダラ勉強しているダメリーマンの記録

ハドリアヌス帝の回想を読み終えて

 

読み終えた。。正直に言います。

結局、途中調達した()日本語訳本のハドリアヌス帝の回想を、誘惑に耐えきれずさっさと通して読んでしまい、話の大筋を理解した上で、積み残していた上記フランス語版の残りを読みました。

自分にはこの本を原書だけで通読するのは無理でした。訳付きでもかなりきつかった。結構な時間をかけてフランス語の勉強をしてきたのに情けない。自信喪失気味。

 

あと今回は、今まで読んだフランス語の小説の中で一番、その世界に潜るのにも苦労しました。

大体どの小説も何日か進めばいつの間にかその世界に馴染んでるんだけど、ローマの老皇帝ハドリアヌスには中々ダイブできなかった。

止めどないモノローグに慣れないのもあったし、さらには独特な表現の節回しや、あと暗く鬱々としたトーンでのハドリアヌスの述懐に、あまり感情移入できなかったこともあるかもしれない。

 

それでも、ユルスナールの描写は怜悧で緻密で濃厚なので、山岡荘八徳川家康司馬遼太郎坂本龍馬がそうだったように、ハドリアヌスが史実上こういう人物だったんだと錯覚してしまうような感覚がある(モノローグなのでノンフィクションという感覚ではないんだけど)

具体的に言えば、古代ローマという時代の制約を逃れ、まるで転生者みたいな知見でもって、因習を軽蔑し、合理的普遍性(みたいなもの)を身につけ、それでいて一部の不合理と不協和を喜んで享受するような少し人間臭い部分を残した賢人として。。

けれども、これはあくまでフィクションのエンターテインメントであって、ユルスナールによるハドリアヌスなんだと割り切る分別は必要だと思う。もう少しローマ世界をしっかり学習してから再読したい本だなと思った。

 

まだまだ他にも取り組みたい小説はあるので、今回の経験に懲りずに、また怯まず挑戦していきたいと思います。。