とにかくフランス語を勉強する

フランス語に加えてイタリア語もダラダラ勉強しているダメリーマンの記録。最近は小説ばっかり読んでいます。

フランス語学習の最大の挑戦について振り返る

自分が今までにフランス語の学習を積み重ねてきた中での最大の挑戦は、間違いなく、フローベールの「ボヴァリー夫人」の全文の書き取り(ディクテ)に挑み、完遂したことです。

時期にして、2014年8月末から2015年3月までの話です。もう10年くらい経つんですね。早いものです。

 

2014年の春、自分は大病を患い、語学の学習もブログも休まざるを得なくなりました。

そして、その闘病の過程で、すっかりフランス語への情熱も消え失せてしまいました。

そんなある日のこと、たまたま下記の本の紹介記事を新聞の書評欄で読みました。

 

ボヴァリー夫人』を徹底的に読み抜くことによって、その「テクスト的な現実」に露呈するさまざまな問題を縦横に論じる。 歳月をこえた書き下ろし二千枚、遂に完成!

 

ボヴァリー夫人・・

高名な研究者が一生をかけて、読んで読んで読みまくって研究したくなるような小説って・・

ボヴァリー夫人」ってそんなにすごいのか??

フランスの小説であることは知っていましたが、興味が湧いてきました。

 

原書で読んでみようか・・馬鹿げたことを思いついてしまいました。

どこかで挫折するだろうなと思いつつも、フランス語の勉強の習慣を復活させ、毎日の書取に挑むことにしました。

 

・・最初は本当に難しかったです。激辛でした。

自分の当時の語彙力と解釈力(今も大したことないけど)では厳しいところばかりでした。

しばらくしんどい日が続きました。

それでも丁寧に辞書を引きつつ、少しずつ少しずつ書取を進めていきました。

 

1時間唸りながらも、訳出に納得できず、1ページも進まない日もありました。

朝のカフェで書取しながら、気を失ってしまい、会社に遅刻した日もありました。

海外出張の穴を埋めるべく、8時間ぶっ続けで書き取りし続けて、昏倒した日もありました。

 

・・気が付くと、フローベールの精緻な文体が徐々に馴染んできて、ボヴァリー夫人の世界にすっかりドリップしていました。

主人公のエマに感情移入し、一挙手一投足を夢中になって追いかけるようになっていました。

後半に入ってからは、毎日の書き取りが本当に楽しみになりました。

 

結局、最後まで辿り着くのには200日近くかかりました。

最後は何とも救いようのない結末で話は終わりました。

でもそれがむしろ痛快でした。

最後は、書き取り切った満足感と主人公エマへの惜別の念が綯交ぜになった、何とも形容しがたい感動の波みたいなものが残りました。

 

今に至っても、あれほど感情を込めて毎日読み進めた作品は、他にありません。

読み終わって、もっと色々な小説を踏破したい、感動したい、脳を焼かれたいというモチベーションがもらいました。

そこからまた色々な小説を書き取りし続けました。

そして、それが資格試験の再挑戦や、今のイタリア語の小説購読にもつながってきています。

 

とにかく、大作の書取をやり切ったという事実が、自分に大きな自信を、大きな核を与えてくれました。

イタリア語でも、他の言語でも、いつか、こういうジリジリするような経験をしたいと思って学習を続けています。

 

(参考)

以下にボヴァリー夫人のディクテ挑戦用リンクを貼っておきますので頑張って挑んでみてください。

小説(無料)

https://fr.wikisource.org/wiki/Madame_Bovary

読み上げ素材(無料)

https://www.litteratureaudio.com/livre-audio-gratuit-mp3/gustave-flaubert-madame-bovary.html

(PCがない人は以下の動画サイトでの読み上げを活用ください)