書取の題材に選ぶ小説の条件は、音声ファイルがあること、日本語訳が出版されていること、そして自分のスキルと嗜好に合うという要件が揃っていることだが、全部を満たせるものは少ない。
女の一生の後に何を書き取ろうか迷っていて、当初はモーパッサンの「ベラミ」、プルーストの「失われた時を求めて」あたりを考えていた。
モーパッサンは面白いのは分かってるし取り組みやすいのも魅力だったが、ベラミは録音時間が690分と長い上、もっと色々な作家の色々な文書を書き取りたい気持ちの方が強くなってきたし自重。
プルーストはその名声に少し憧れていて、失われた時を求めて1章の「スワン家の方へ」だけ取り組もうかと思ったのだが、紀伊国屋で日本語版を少し立ち読みして無理と判断。内省的、観念的な記述が多そうで日本語でも難しい。格が違いすぎる。
ということで色々と他を探した結果、ノーベル賞作家、アンドレ・ジッドの田園交響楽(La Symphonie Pastorale)を書き取ることにした。書取シリーズとしては第15弾。
La Symphonie Pastorale (Folio Ser .: No 18)
- 作者:Gide, Andre
- 発売日: 1972/06/01
- メディア: マスマーケット
- 作者:ジッド
- 発売日: 1952/07/17
- メディア: 文庫
La Symphonie Pastorale-Andre Gide
- アーティスト:Topart, Jean
- 発売日: 2005/04/26
- メディア: CD
1919年の作品で、20世紀の作品はサンテックス以来だから久しぶり。小説は映画化されているらしく、原作の内容が評価されているという意味では期待したい。
実は、ジッドは「狭き門」という作品が名作の誉れが高いらしく、それを書き取りたかったのだが音源が見つからずギブアップ。フランスの共有サイトでラジオ音源をTorrent経由で流していたけど怪しそうなサイトだったので止めた。
それにジッドは没後70年経っていないので、まだ作品がパブリックドメインになってないみたい。なので無料で文章と音源が手に入らない。
そんな中で色々と物色していたら「田園交響楽」の音源がAmazon Franceで売られていたので、これを取り寄せてやる事にした。
分量は短く、日本語文庫版で140ページ、長編というよりは中編に近い。音声ファイルの分量は150分程度しかなく、章の最初と最後に音楽の挿入もあるので、実質140分くらいか。かなり高速の展開が予想される。
しかし新しい作家は少し緊張する。難易度も文体も分からないしな。取り敢えず最初は静かで無難なスタート。