フランス政府が、英語を中心とする外来語の侵略に対応すべく、フランス語の防衛に努めている話は以前に書きました。(参考⇒フランス語の純化政策を見る )
今回紹介する下記のリンク先はその年次まとめ資料です(PDF直リンクはこちら(⇒))。
発行元はフランス語強化委員会(通称”CELF”)で、フランス語の幅広い分野での利用を促進すべく作られたフランスの国家機関で、日本の国語審議会の強化版のような役割を担っています。
この報告書は、簡単に言えば、フランスで使われるようになった外来語を侵略特定種と位置付け、それに対応するためのフランス語の新語を割り当てる審議過程と内容をまとめたものです。
これまでに登録された外来語は、現在では9,000以上に上るのだとか。
経済、法律、科学、技術に加え、最近は金融、ゲーム、スポーツ、文化など分野も多岐に渡ります。
報告書は170ページ以上ありますが、後半には登録された単語がたくさん載っていて読み応えがあります。
下記の図を例として挙げると、左からフランス語の新語、言語の分野、侵略特定外国語の順に並んで紹介されています。(字が小さくてすいません)
1行目の”désoccidentalisation"という単語は、脱西洋化を意味する”Westlessness”、2行目の"État profond"もしくは”État sousterrain"という単語はディープステートを意味する"Deep state"の置き換えで生成されたことを意味しています。
1つ1つ単語の意味を委員会が精査して、対応するフランス語を割り当て定義し、外来語を駆除しているわけですね。
・・こんな愚直な方法で、自国語を守ろうとするフランス文化省の情熱と努力には感服します。
カテゴリーも非常に多く、1つ1つ覚えるのも大変ですが、たとえば仏検1級対策のために新語を学びたい方とか、リンク先のPDFから学習してみてください(試験の1週間後に書く無責任なやつ)