「蚊」はフランス語だと"Moustique"、イタリア語だと"Zanzara"
「蛙」はフランス語だと"Grenouil"、イタリア語だと”Rana"
「雀」はフランス語だと"Moineau"、イタリア語だと"Passero"
フランス語とイタリア語。よく似た言語な筈なのに、同じ意味を表わすために全く異なるルーツから形成されている単語が結構あります。
そこで、ふと疑問がわいてきました。
スペイン語、ポルトガル語も含めたロマンス諸語4兄弟の間で、同じ意味を指すために、言葉の成り立ちが4つともバラバラに異なる単語はあるんだろうか?
我ながら暇人だなと思いつつ探してみました。。が、全然見つかりませんでした。
恣意的に似た単語を並べて別系統だと言い張ることが簡単にできてしまうケースや、同一言語内に同じ意味を示す複数の語彙が流通しているケースも多く、そういうのは載せにくいです。
・・以下に付いている説明は語源です。Wikinatoryや仏和大辞典で調べています。
中世以降に生まれた概念とか、地域によって生息域の異なる動物などは、ラテン語で統一的に運用できなかったことで、語源がバラバラになりやすいのかなと思いました。
スカート
jupe(フランス語)・・アラビア語juppa(ゆったりしたウェア)⇒イタリア南部方言jupa(※日本に伝わったのは「襦袢」という言葉の祖になった)
gonna(イタリア語)・・後期ラテン語gunna(毛皮の衣服)
falda(スペイン語)・・古フランク語falda(包むもの)
saia(ポルトガル語)・・ラテン語Sagum(外套)⇒古ポルトガル語saya
※ちなみに、英語ではskirt、ルーマニア語ではfustaと呼ぶらしいです。
キツネ
renard(フランス語)・・Roman de Renart(狐物語/12世紀後半成立)の主人公の名Renart(元々は、古フランス語goupilという単語があったが取って代わられた)
volpes(イタリア語)・・ラテン語vulpēs(キツネ)
zorro(スペイン語)・・不明。perro(犬)と関係あるという説も
raposa(ポルトガル語)・・古スペイン語rabo(尾)、ラテン語rāpum(カブ)に由来する。アストゥリアス語のrapiega(狐)の影響も
リボン
ruban(フランス語)・・ゲルマン祖語ringh(輪)+Banda(バンド)⇒中世オランダ語ringhband(首飾り)
nastro(イタリア語)・・西ゲルマン語群nastilu(ベルト/ストラップ)⇒古高ドイツ語nastila
cinta(スペイン語)・・後期ラテン語cinctus(ベルト/帯)(イタリア語でも同綴りの言葉はあるが、帯域(エリアとしての)、壁、城壁の意味になる)
fita(ポルトガル語)・・不明。ラテン語のVitta(バンド/リボン)という説あり。
・・他に見つかったら追加しておきます。