とにかくフランス語を勉強する

フランス語に加えてイタリア語もダラダラ勉強しているダメリーマンの記録

休戦(La tregua)を踏破する

 

イタリア文学シリーズ8作目、プリモ・レーヴィの「休戦(La tregua)」も踏破しました。35日かかりました。

アウシュヴィッツでの受難を描いた前作「これが人間か(Se questo è un uomo)()」の続編にあたります。

ソ連軍によって絶滅収容所から解放された後、ソ連領内のキャンプをたらい回しにされ続け、結局9か月後に特別列車でイタリアに戻るまでの9か月を描いた作品です。

アウシュヴィッツの生き残りの方々が、解放後にどんな形で帰還したかなんて、勿論全然知らない世界だったので、興味深く読みました。

各地で色々なルーツの色々な立場の方との交流を通じて、作者の心の回復を少しユーモラスに描いています。一種の人間観察記録でもありますね。

 

(以下、ネタバレを含む)

基本的には9か月の間に出会った方々の観察記録とも呼ぶべき内容ですが、主題はシリアスです。

アウシュヴィッツから解放され、新しい環境に適用するのに夢中になっていたこの期間こそは、結局アウシュヴィッツのトラウマを深く考えずに済んだ「休戦」期間であって・・

無事にトリノの実家に帰って家族と再開したところで、平穏を取り戻すかと思いきや、アウシュヴィッツの悪夢が頭から離れずに(PTSD?)、苦しみ続けることを暗示して話は終わります。

 

作者の本業は科学者ですが、この後文壇に進み、数々の作品を残し、1979年にはイタリア随一の文学賞ストレーガ賞を受賞するに至ります。

文化人としても強い影響力を持っていたようですが、1987年4月、自宅マンションから飛び降り67歳で命を絶ちました(事故死説も根強いが)

自死によって作品を本当の意味で完成させてしまったのではないかと思うと、本当に心が痛みます(パヴェーゼもそんな感じでした)

 

・・

今回は日本語訳なしで読み進んだので道中しんどかったですが、どうしても分からない部分はDeeplでテキスト翻訳したら、何とかなりました。

しばらく復習しますが、懸案の産業カウンセラー筆記試験まであと4週、そろそろこっちをメインにしないと。。

 

La tregua

La tregua

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