上記エントリーから50日。やっと終わりました。文章をひたすら分解して、読んで書いて進んだので、時間がかかりました。
仕事的にも4月は多忙なので(新卒教育とか採用とか色々あるし)、その両立もしんどかったです。
あらすじを詳しく書くのは野暮なので、まず岩波文庫のキャッチコピーを紹介します。
戦争の惨禍、ファシズムとレジスタンス、死んでいった人々、生き残った貧しい者たち。そこに繰り広げられる惨劇と痛ましくも美しい現実を描く、パヴェーゼの最高傑作。
私生児として育ち、農場に売られ、そして故郷を捨てアメリカに渡って経済的な成功を収め、年月を経て戻ってきた主人公と、その主人公がかつて故郷で関わった人たちの行く末の物語です。
拠り所を持たない私生児の孤独、農村の貧困、ファシズムが覆う影など、色々な主題を内包しつつ、物語全体に漂う無常な空気感が何ともパヴェーゼだなと感じます。
・・これは確かに時代の傑作ですね。岩波文庫のコピーは誇張でないと思います。心を抉られました。
パヴェーゼはこの最高傑作を書き上げた後、トリノのホテルで自ら命を絶ちます。
日記には「物語群(サーガ)は完成した」という言葉を残していたそうですが、この小説で全てが出来上がってしまったと思ったのでしょうか。残念でなりません。
彼の小説は正直取っ付きにくいけど、何とも言えないエグ味と滋味がありました。秋刀魚のハラワタみたいな感じというか(分からないか)
是非イタリア語学習者の同士の方にはパヴェーゼにチャレンジして欲しいなと思いつつも、技術的にはかなりの難度なので覚悟が要ります。簡単ではありません。
今回も、現在と過去を自由に行き来する回想、とにかく濃厚でうんざりするほどの自然描写、自由にどんどん湧き出てくる登場人物に悶絶しつつも、何とか食らいついて読みました。
毎日の負荷はかなり高かったです。踏破して疲労を感じたので、しばらく雑誌を読むだけにします。
(追記)
この本を読まれる方は、事前に「イタリア社会共和国」「黒シャツ隊」などの用語についてWikipediaの記事を読んでおくと良いと思います。