仏検協会の2023年3月期の情報公開資料が上がっています。
公益財団法人は公告が義務付けられているので誰でも公式で確認が出来るのですね。
読んでみると、結構詳細なレポートが上がっていて面白いです。簡単に見てみます。
1)事業報告書(2022年度)
2022年度の主要数値は以下の通りです。
年間受験者数・・春季秋季全級合わせて18,877人。昔は30,000人を超えていた記憶があります。最近になってガクっと減ってきましたね。(推移は別に調べてみようと思う)
寄付金・・227万円。収益の1.5%程度。コロナになった年から募り始めて3年目だし、こんなもんでしょう。個人107人で216万円も寄付されていて、寄付された方には本当に頭が下がります。
仏検公式ガイド売上部数・・12,034部。受験者の3人に2人が買っている計算。結構な忠誠率ですね。
2)正味資産増減計算書
企業で言う損益決算書(P/L)に該当するものです。
収益151百万、経費168百万。17百万の損失を計上しました。。凄まじい出血ですね。数字が悪すぎて衝撃が大きいです。
事業規模を考えると、計上している人件費がそんなに高いとも思いません。受験者が減少しても開催経費を減らせていないのが大きいのだろうと思います。
3)貸借対照表
上述の赤字に対応して、長年積み立ててきた貯えをハイペースで食い潰しています。
流動資産が1年で46百万⇒28百万に減少していて、このペースで出血が続くと、あと2年で手元の現金が払底します。
ただ借入も利払いもないので、収益さえ改善すれば何とかなるとは思いますが、どういう手を打つのか不安になります。
4)収支予想書(2023年度予算)
収益163百万、支出168百万、5百万の損失を見込み、10百万以上のキャッシュが流出する前提で予算を組んでいます。
予算段階で既に赤字なのか。。それも収益アップという前提があるのに。。
受験者の減少トレンドが2023年も続いた場合、また悲惨な決算になりそうな気がします。
支出を全く減らしていないのが逆に気になりますが、外部からキャッシュを注入してもらえるアテでもあるんでしょうか。あるわけないか。
5)まとめ
とにかく赤字幅が大きすぎてしんどいです。危機的です。収益を増やすか、経費を減らすか、どちらかの対応が急務です。
けど、受験者は戻らない、これ以上値上げもできそうにない、定款の範囲で検定以外の新規事業を作るのも難しい、という制約下で増収は難しそうですね。
となると経費を減らすしかありません。現状、実質的には、如何に開催経費を減らしながら、仏検を続けていけるかという退却戦のフェーズにあるんだと思います。
試験会場は徐々に減らされていくでしょう。特に収益に対する支出の割合の高そうな、受験者の少ない地方は厳しくなると思います。
あとは開催頻度で見直しが入ると嫌ですね。イタリア語検定みたいにCBT方式の導入による実質年1回開催化とか。個人的にはそう転ばないことを願っています。
※蛇足
目標にしていた通訳ガイド試験に受からなかった自分にとって、仏検は残された忘れ形見のようなものです。
良い思い出がたくさんあります。受かった時はみっともなく、ブログでたくさん自慢しました。それだけ嬉しかったからです。
その自分が頼るべき権威の土台が揺らいでいるのは、本当に切ないものがあります。
なのでこれからは折に触れて、この資格を目指すことの楽しさ(と辛さ)を宣伝していきたいと思います。
(追記)受験者数推移を調べてみました