本当に久しぶりに仕事のエントリー。
自分はずっと総務で仕事をしているのだけど、4年近く前にこんな事を書きました。今見ると、わけのわからない内容だけど、動転していた事は分かる。
実はこの時、社内では億を超える額の横領が発覚していた。
犯人は自分の部署の先輩だった。信じられなかった。昔、自分に取引管理のハウツーを色々教えてくれた恩人でもあったし。
彼は長年、資金繰りと手形管理の業務を独りで独占していた。それを良いことに何年もの間、ありとあらゆる方法で巧妙に横領に手を染めていた。
もちろん随所で上司や監査役のチェックは行われていた。それでも彼は、報告と確証に改竄を施し、虚言を弄し、何もなかったかのように監視の目をすり抜けていた。
かくして彼は着服した金で密かに豪勢な生活を送りつつ、残金を全部ギャンブルに溶かすという、絵にかいたような転落ライフを送り続けたのだった。
彼の自滅への道はまっさらに舗装されていた。生活レベルがどんどん華奢になって、いつの間にか元に戻れなくなっていた。
着服金額は大きくなり、回数も頻繁になっていった。それでもすぐに金が足りなくなった。
もっと効率的な搾取をするため、より難易度の高い(稚拙な)方法による横領に手を染め始めた。もう完全にぶっ壊れていた。
・・ほどなくして事が露見した。彼は御用となった。
それからは蜂の巣をつついたような騒ぎとなった。まさか、自分の会社で自分の組織で、こんなことが起こるなんて。
大して規模の大きくない会社なので、財務へのインパクトも大きかった。経営が傾き、役員が総入れ替えになった。
彼自身は自宅待機と取り調べの末、解雇になった。自分は共謀は疑われなかったが、そのためにむしろ被害額確定や証拠保全のための色々な作業に従事させられることになった。
無能感、後悔、不安が大きかったし、関係者の間での醜い責任のなすりつけ合いも相まって精神的には著しく疲弊した(もともとメンタル的にタフじゃないしな)
また、被害額を確定させてからの弁済プロセスも難儀だった。浪費を続けていた彼に被害額を即時弁済してもらえるはずもなかった。彼の持つ不動産など焼け石に水だった。
ない袖は振れない。何十年もの歳月をかけて毎月毎月少額の弁済をさせることになった。とにかく時間をかけてでも一円も債権放棄せず取り立てる方針で進んだ。
もちろん刑事告訴もした。これは手続きにかなりの時間を要した。何度も書類を持って警察署に行く羽目になった。コロナ禍もあり、動きが鈍くてイライラした。
途中で先方の担当が変わって説明がリセットになったり、人によって対応が全然違ったり。。
それでも少しずつ山を越え、逮捕、起訴、裁判と手続きが進んでいった。法廷での彼は淡々としていた。宣誓や証言には何の感情も入っていなかった。傍聴席で彼を見つめる自分に目を向けることも一度もなかった。
結局発覚から4年、逮捕・起訴からは半年ほど。このほど、ようやく判決に至った。
「執行猶予なしの実刑x年(かなり長い)」。すでに追及材料も弁護材料も出尽くしている。
彼も白旗を上げていた。予想された通りに控訴はしなかった。そしてすぐに刑務所に収監された。
・・それでも、そう遠くない釈放(仮釈放)の後も、彼が逃亡しないように見張りつつの取り立ては延々と続く。一生続く。
この会社にいる限り、もうこの事件からは逃れられない。それでも、判決が出て喉のつかえが取れた感じがした。やっと区切りがついたかなと。
いつもでも引きずってはいられない。もう少し前向きな気持ちで仕事をしていかないと。そして憂いなく勉強も続けていけたらなと思います。